本会の歴史ー沿革に代えてー

 一般的に「沿革」は、組織が設立されてから今日までの歴史を時系列で記述されるものですが、本会がいつ設立され、いつどういった変化をしていったのかの記録がありません。したがって、テクストという仕方で本研究会の歴史を辿り、ここでご紹介いたします。

 本会は愛知教育大学で数十年前に開始されました。この記事の筆者・稲垣が、学生に促され、授業後に受講学生の哲学能力の向上と大学院受験のための勉強を兼ねて始めたのが本会です(この時点では学生が2〜3名)。当時は、ハイデガー『存在と時間』をドイツ語で熟読しておりました。また筆者が当時、名古屋大学にも勤めていたので、名古屋大学大学院文学研究科哲学研究室の学生もこの研究会に参加したい(ここでも学生は3〜4名)ということで、筆者は週2回、愛知教育大学の学生とは別の学生を相手に上掲書を読んでいました。このときの当会名は「ハイデガー研究会」でした。それから数年後、メンバーから別の著作を読みたいという要望もあり、ハンナ・アレント『活動的生活(人間の条件)』に輪読書を変更しました。ここで研究会名が「アレント研究会」に替わりました。

 しかし、当会のメンバーの研究・仕事上の状況が変わり、週1度研究会を開くということが困難となったので、哲学書を読むのは中断し、月に一度、研究発表会を実施するという研究会体制に変更し、研究会名も数年前から「愛知哲学思想研究会」に変更し、現在に至ります。

 定例会での研究発表のテーマも、従来の哲学史研究にとどまらず、科学哲学や論理学、美学/芸術論、ジェンダー/セクシュアリティ研究、生命倫理、教育哲学、政治哲学、哲学教育等であり、その分野は多岐に広がり、発表者は複雑な現代社会の情勢に合った学際的な研究を展開しています。発表者も学部学生から大学教員に至るまで多様であり、皆さんが楽しく闊達に発表してくださっています。

 運営委員・顧問 稲垣惠一

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